過焦点距離と被写界深度と

先日のドローン初心者体験会で、過焦点距離という単語が咄嗟に出なかったのが悔しかったので、あらためて文章化してみます。

過焦点距離とは・・・無限遠にまでピントが合うカメラと被写体の距離のこと

です。以上、ですし普通はこんなこと知っておく必要はないです。

では普通ではない状態を3つ紹介します。

と、その前にもうちょっと過焦点距離を深掘りします。

無限遠にピントが合う、というのは記念写真を思い浮かべるとわかりやすいです。

目の前には家族や恋人、友人など。

後ろには海や山などの景色。

このシチュエーションでは人間にピントが合っている必要がありますね。

でも後ろの背景は?まぁボケていてもいいけど、できればくっきり見えたほうがいいような気がします。場所がわかりますしね。あえてポートレート風にぼかすのも手、ですが、その場合は過焦点距離を意識する必要があります。正確には被写界深度ですが。

被写界深度はピントが合う範囲のことです。記念写真の人物から背景までピントがあっていれば、被写界深度はその人間(より前かも)から無限遠まで、となります。

手前と背景にピントが合っていませんね

これには計算式があります。

前方被写界深度 = ( 許容錯乱円径 * F値 * 被写体距離^2 ) /  ( 焦点距離^2 + 許容錯乱円径 * F値 * 被写体距離 )

後方被写界深度 = ( 許容錯乱円径 * F値 * 被写体距離^2 ) /  ( 焦点距離^2 - 許容錯乱円径 * F値 * 被写体距離 )

許容錯乱円系はざっくりフルサイズは0.3、APSは0.2の定数だと思ってください。スマホのカメラはもっと小さい値になるはずです。

焦点距離も被写体距離もmmです。

いえ、覚える必要はありません。

このサイトで計算できます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1378344145

例えばフルサイズカメラで24mmのレンズを使い、F2.8に設定、3mの距離に被写体がいます。

上記サイトで計算すると

前方被写界深度 913.04mm

後方被写界深度 2333.33mm

です。これは3mの被写体を基準にしているので、

3000-913 = 2087

3000+2333=5333

だいたい2mから5mの範囲でピントが合います。

で、この5mが無限大になる場合はあるでしょうか?

あります!他の条件を変えずにF値を6.4にしてみてください。

すると

前方被写界深度 1500.00mm

後方被写界深度 ∞mm

となります。カメラから1.5mあたりから無限遠の遠くまでピントが合います。

過焦点距離はその半分からピントが合う、という距離のことで、これを2倍します。

1.5×2=3m。これが過焦点距離です。

過焦点距離は

焦点距離^2÷(絞り値*許容錯乱円径)

で計算します。

上記の場合だと24*24/(6.4*0.03328)=2,704.32692

となります。

どう使うかというと、24mmのレンズを使っているときに集合写真を撮影するとします。

3mくらいの距離にカメラを構えるが、かなり暗いのでF値を小さくしたい。でも背景はぼかしたくない。

仮にF値を2.0にすると

24*24/(2.0*0.03328)=8,653.84615

となるため、前方深度は8.6/2=4.3mとなり、3mの被写体にもしピントを合わせると背景はボケることになります。

撮影距離=過焦点距離の場合、手前は1/2までピントがあるしなおかつ無限遠にもピントがあいます。

こういう撮影をパンフォーカスといいます。昔の写ルンですとかがそうですね。近いとまったくピントがあいませんでした。

レンズも暗いです。無限遠にもピントが合うように設計されています。

だいたい焦点距離が32mm、F値が10らしいです。

32*32/(10*0.0328)=3,121.9512

なので、1.5mの距離より近いとボケますね。

やっと本題ですが、スマホとかならこんなことを意識することはありません。

普通はこんなこと知っておく必要はないです。普通ではない状態とは、

1、ドローンに搭載されたカメラ

ドローンに搭載されている場合、たいていはカメラの設定を変更できません。

なのでパンフォーカス撮影が基本になります。ドローンの速い動きでピントを調節しながら撮影するとか

いったいどんなテクニックなのしょう。でも将来はそういう映像を見ることができるかもですね。

2、360カメラ

一般的な360カメラは2つの魚眼レンズを向き合わせて配置したカメラです。

撮影した映像は丸い映像になります。その代わり、180度すべて写っています。それが2つあるので全周囲の撮影ができます。

写っている被写体は全方位なので、被写体までの距離の違いでカメラの設定を変更できません。近い被写体にピントを合わせてしまうと遠くの被写体がボケてしまうかもしれません。360映像は基本的にすべてにピントが合っている必要があります。

3、フォトグラメトリ

カメラを少しづつ動かしてたくさん撮影をします。同じ場所が重なっている写真がたくさん必要です。写真同士、内容が30%以上重なっている必要があります。重なっている部分を認識(特徴点)し、解析することで、そのポイントのカメラからの距離を計算します。

すべての位置を計算することで3Dで形状を捉えることができます。また、写真には表面の色情報があります。これをテクスチャとし、3Dデータを作成することができます。

この撮影では写真がどこかボケていると重なっているという認識ができません。物体の形状が判断できないのです。

というわけで私が好きなものばかり。

なので私は知っておく必要がありますね。

この文章わかりやすかったでしょうか?

ブラッシュアップしていきたいので質問があればぜひお願いいたします。